【電通総研企業研究完全ガイド】~強み・事業領域・今後の戦略を徹底解説~
この記事では「電通総研の企業研究」を中心に、事業概要や特徴、強み、今後の戦略などを総合的に整理しています。記事を読むことで、電通総研のビジネスモデルを深く理解し、企業研究に必要なポイントを把握できるようになります。就職・転職活動の情報収集や、企業分析の一環として、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 電通総研の概要と社名変更の背景
電通総研は、広告・マーケティングを手がける大手グループに属するシンクタンク、コンサルティング、そしてシステムインテグレーター(SIer)としての機能をあわせ持った企業です。従来の社名は「電通国際情報サービス」でしたが、2024年1月に「電通総研」へと名称を変更しています。
この社名変更には、単なる名称リニューアルにとどまらず、グループ内で培ってきたマーケティング領域のノウハウと、同社が強みとする先端IT技術、そしてシンクタンク機能をより強く打ち出していく意図があります。従業員数は単体で約2,000名、連結では約3,650名と、システムインテグレーターの中では中規模~大規模に位置付けられる企業です。
社名変更の背景
- 従来の枠を超えたシンクタンク機能強化
新社名の「電通総研」は、単なる情報サービス企業ではなく、社会や顧客の課題を調査・分析し、未来を構想するシンクタンクとしての役割を強調する狙いがあります。 - 電通グループとのシナジーの明確化
広告・マーケティング大手である電通グループのノウハウやネットワークを活かし、単なるSI業務にとどまらないコンサルティング力を打ち出していく方針です。
こうした背景から、今後は「シンクタンク」「コンサルティング」「システムインテグレーション」の3つを密に連携させる戦略を加速させると予想されます。
2. 電通総研が手がける事業領域
電通総研の事業領域は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- シンクタンク
社会や消費動向に関するデータを収集・分析し、政府や企業への提言を行う機能。マーケティングリサーチ、各種統計分析、未来予測などを通じて、企業や社会が抱える問題を可視化します。 - コンサルティング
シンクタンクの調査結果を踏まえ、顧客企業の経営課題やビジネス戦略を立案。電通総研ならではの幅広い視点(広告・マーケティング知見+先端IT活用)を活かし、課題解決に向けたアドバイスを提供します。 - システムインテグレーション(SI)
コンサルティングの成果をもとに、ITシステム構築や各種導入支援を行います。企業に合わせたシステムの要件定義から開発・運用保守までを幅広くカバーし、広告・マーケティング領域に強いITソリューションを提供できる点が特長です。
これら3つの機能を持つ企業としては、他に野村総合研究所(NRI)や日本総合研究所(日本総研)、みずほリサーチ&テクノロジーズなどがあります。いわゆる「総研系」のビジネスモデルは、リサーチ(シンクタンク)⇒コンサルティング⇒システム構築という流れを一社で完結できる点が大きな強みといえます。
3. 電通総研の特徴・強み:ユーザー系SIerと高い顧客基盤
3-1. 親会社がもたらす強固な支援体制
電通総研は、電通グループが筆頭株主であり、約60%以上の株式を保有しています。そのため、電通グループの広告・マーケティング領域のノウハウや顧客基盤を活かした事業展開が可能です。
マーケティングはあらゆる企業が必要とする活動であり、膨大なデータと専門知識を必要とします。電通総研は、この広告・マーケティングの視点に加え、ITシステム構築の技術力を組み合わせたソリューションを提供できる点が強みとなっています。
3-2. 高い待遇と人材獲得力
総合研究所系の企業は概して給与水準が高いですが、電通総研も「平均年収が1,100万円を超える」など、非常に高待遇で知られています。例えば、総合研究所業界トップ水準といわれる野村総合研究所(NRI)に次ぐ待遇水準であり、若手からでもモチベーション高く働ける環境を整備している点が評価されています。
待遇が高い企業には優秀な人材が集まりやすく、結果として企業全体の競争力が高まるという好循環を生み出しています。実際、社員口コミサイトなどの評価を見ても、給与水準や福利厚生、キャリアパスへの満足度が総じて高いことがわかります。
3-3. 行動指針を明確に示す「AHEAD」の取り組み
多くの大手企業が行動指針やバリューを示していますが、電通総研は「AHEAD」という行動指針を定義し、エントリーシートの設問にも落とし込んでいる点が特徴的です。
- A:Agile(まずやってみる)
- H:Humor(人間魅力で超える)
- E:Explore(切り拓く)
- A:Ambitious(夢を持つ)
- D:Dialogue(互いに語り尽くす)
エントリー時にどの行動指針に共感するか、その具体的なエピソードを書かせることで、求める人物像に合致した人材を採用しやすくしています。技術力だけでなく、人としての魅力や考え方を重要視する企業姿勢が感じられます。
4. 電通総研のビジネスモデル:収益構造と高収益の秘密
4-1. ユーザー系×先端技術の掛け合わせ
ユーザー系SIerとして、電通グループ各社の案件や、グループの顧客先に対するシステム提案を数多く担っています。この豊富な案件基盤と、先端テクノロジーへの投資によって、特にマーケティング・広告領域のシステム開発では他社にない優位性を発揮しています。
4-2. ソフトウェアパッケージ化による効率的なサービス提供
電通総研の収益構造を見てみると、ソフトウェア製品や商品が売上全体の半分以上を占めることが大きな特徴です。システム開発では、顧客ごとに一からカスタマイズすると工数がかかり、利益率が下がりがちです。しかし、同社のようにある程度パッケージ化されたソリューションを持つことで、多くの顧客に対して効率よくサービス提供が可能になります。
その結果、最新の決算説明資料で示されるように、営業利益率が14.7%という非常に高い収益性を誇っています。一般的にSIer業界で10%を超える利益率は優良企業とされる中、14%を超える水準は際立った存在感を示しています。
5. 電通総研の業績動向:売上・利益率・サービス別分析
5-1. 売上規模と市場での位置づけ
電通総研の年間売上高は約1,426億円(連結ベース)。比較対象として、業界大手のNTTデータは4兆円以上の売上を計上しており、単純な売上規模としては差があります。しかし、利益率の高さが電通総研の存在感を際立たせています。
5-2. 主力セグメント:製造・コミュニケーションIT・金融
最新のセグメント別売上を見ると、特に比率が高いのが製造ソリューションとコミュニケーションITです。コミュニケーションITとは、電通グループのマーケティングノウハウを活かしたシステム開発を指しており、SAPなどのERP(基幹業務システム)領域も手掛けています。
また、金融系のソリューションにも強みを持ち、幅広い業種へのサービス展開を進めている点が特徴です。ユーザー系SIerとしての立ち位置を活かし、複数の業界へ安定的にシステム導入を実施できるため、業績も比較的安定しやすくなっています。
5-3. 業種別展開:金融・製造・流通・公共まで幅広くカバー
電通総研は、金融、製造、サービス・流通、公共といった幅広い業種をカバーしています。マーケティング視点が活きる業種はもちろんのこと、それ以外の領域でも、高いコンサルティング力とIT活用による提案を強みに事業を拡大。横断的なソリューションを提供できるため、顧客企業のデジタル化支援や業務改革に大きく貢献しています。
6. 電通総研の成長戦略と重点施策:今後の方向性
6-1. 技術投資による「作る力」の強化
今後の重点施策として、電通総研は先端技術への投資を一層強化する方針を掲げています。特に注目すべきは、世界的に脚光を浴びている生成系AI(Generative AI)の開発や活用です。単なるシステム開発だけでなく、AIを活用した新サービスの創出を加速させることで、より高付加価値なソリューションを提供できるようになると考えられます。
6-2. パッケージソフトのさらなる拡充
すでに営業利益率の高さを裏付ける「パッケージソリューション」戦略ですが、今後は一層の拡充が見込まれます。各業界向けに作り込んだパッケージを横展開していくことで、開発コストを抑えつつ複数の顧客にアプローチ可能となります。ここにAI・マーケティングリサーチの要素を組み合わせることで、差別化された独自のソリューションがさらに強化されるでしょう。
6-3. 企業研究の視点:今後のチャンスとリスク
- チャンス
- 生成系AIやデータ分析の高度化による新たな市場開拓
- 電通グループのネットワークを活かした顧客拡大
- 若手の登用・高待遇を背景とした優秀人材の確保
- リスク
- グループの方針や景気動向によっては受注が変動しうる
- パッケージに頼りすぎると、汎用性が高くなる一方で顧客個別の高度化ニーズへの対応が遅れる可能性
- AIやDXの流れが進み他社も参入する中で、独自性の維持が課題
これらを踏まえ、企業研究の段階では電通総研が目指す「シンクタンク+先端IT」の融合戦略がどのように具体化されているのかを見極めることが重要です。
7. 電通総研企業研究のまとめ:就職・転職希望者へのアドバイス
ここまで見てきたように、電通総研はユーザー系SIerとしての強みと、高度なシンクタンク機能、そして高待遇を武器に多様な業界にソリューションを提供しています。加えて、広告・マーケティングで培われたノウハウをITソリューションに落とし込む能力は、他社にはない大きな差別化要因です。
電通総研への就職・転職を検討している方へ
- 行動指針「AHEAD」を理解し、自身の経験と結びつける
電通総研では行動指針が明確に示されており、エントリーシートや面接でも問われる可能性が高いです。自分の行動や考え方が企業が求める価値観に合致しているかをしっかり言語化しましょう。 - マーケティング×ITの興味・関心をアピール
親会社の電通グループとのシナジーは、まさに「マーケティング×IT」という掛け合わせにあります。広告・マーケティングの知見やITのスキルを持つ人材は、総合的なプロジェクトを担う人材として重宝される可能性が高いです。 - OB訪問や採用ページで具体的なプロジェクト事例をチェック
企業研究を深めるうえでは、最新の決算説明資料やIR情報だけでなく、実際に社員から得られる生の情報が不可欠です。SI案件だけでなく、コンサルやリサーチのプロジェクト事例を知ることで、より具体的なイメージを持てます。 - 技術革新の動向にアンテナを張る
生成系AIをはじめとする先端技術は、電通総研がこれからさらに注力すると見込まれる分野です。新技術への興味・学習意欲をアピールできると、選考でもプラスになるでしょう。
今後の展望
電通総研は、新社名の通り、シンクタンクとしての機能をいっそう強化しながら、コンサルティングやシステム開発を柱とした事業を展開していきます。社会課題や企業のデジタル化ニーズが高まり続ける現代において、広告・マーケティング×IT×シンクタンクという組み合わせは今後も強い需要が見込まれます。
まとめ
本記事では、電通総研の企業研究をテーマに、社名変更の背景や事業領域、強み、高収益の構造、そして成長戦略のポイントを解説してきました。電通総研は、広告・マーケティング大手のグループ支援を活かしながら、シンクタンク・コンサル・SIの三位一体で顧客企業の課題解決に取り組む企業です。
- 強み:
- 親会社による強力なマーケティングノウハウ・顧客基盤
- 高水準の待遇による人材確保力
- パッケージソフト展開による高収益体質
- 今後の注力領域:
- 生成系AIなど先端技術への投資
- パッケージソリューションのさらなる拡充
- 「シンクタンク+IT」融合で新たなサービス開発
就職・転職を考える方は、ぜひOB訪問や公式資料を活用し、電通総研ならではのプロジェクトや働き方、求める人物像を深掘りしてみてください。この記事が、みなさんの企業研究における一助となれば幸いです。