【インタビュー(前編)】未経験からIT業界へ飛び込む!視野を広げてキャリアを掴むための戦略
この記事では、就職活動の初期段階では業界を絞り込みすぎていた大学生が、最終的にIT業界、特にSIer就活へとたどり着いた経緯をもとに、「視野を広げる就活戦略」や「SIer就活のポイント」などを詳しく解説します。この記事を読むことで、就活初期の限定的な業界選択のリスクや、自己分析の重要性、そして未経験からでもSIer就活に挑戦できる方法が理解できるようになります。就活生はもちろん、IT・SIer業界に興味をもつ方々にとっても有益な情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. SIer就活とは何か?
SIer就活とは、システムインテグレーター(SIer)企業への就職活動を指します。SIer企業は、クライアント企業が抱える課題をIT技術を用いて解決するためのシステムを開発・提供する役割を担います。具体的には、要件定義・設計・開発・運用・保守など、一連のITプロジェクトを包括的に請け負う形態が多いです。
- ポイント1:IT未経験でも挑戦しやすい
SIer企業の中には、新卒向けに研修制度を充実させているところが多く、文系出身でも意欲次第で活躍が期待できます。 - ポイント2:課題発見・解決力が求められる
クライアント企業の課題をヒアリングし、システムという形で解決策を提案するため、コミュニケーション能力や論理的思考力が大切です。 - ポイント3:幅広いキャリアの可能性
SIerからコンサルや事業会社の情報システム部門へのキャリアアップ例も多く、「手に職をつけたい」「技術とビジネスの両面を学びたい」など、多様な志向に応えられます。
本記事で紹介する大学生のケースでも、まったくのIT未経験からSIer就活を検討するに至ったプロセスがあります。彼・彼女がどのような経緯でSIerを志望するようになったのか、その背景を追いながら、SIer就活を成功させるコツを解説していきます。
2. 就活初期:視野が狭かった大学3年生の夏から冬
就活を始めるとき、最初から業界を大幅に絞ってしまうケースはよくあります。今回お話を伺った大学生(2025年卒予定)も、その例外ではありませんでした。
2-1. きっかけは大学からの就活関連メール
大学3年生の夏(2023年7月頃)、大学から就活関連のメールが送られてきたことで、漠然と「就職活動をそろそろ始めなければ」という気持ちになったそうです。しかし当時は、具体的な自己分析や企業研究は行わず、なんとなくエントリーシート(ES)を作り、インターンシップに応募する程度だったといいます。
「大学からの就活メールで“そろそろESを書かないといけない”と思い始めました。でも、自己分析も企業研究もほとんどせずに、とりあえず興味のある企業に応募してみるという感じでしたね」
2-2. 最初に目指したのはテレビ業界
とくに興味を持っていたのがテレビ業界。普段からテレビをよく見る家庭で育ち、「テレビを作る側に回ったら面白そう」という純粋な思いで、有名な放送局やその関連会社をインターンシップで受けていたそうです。結果的に何社かインターンに通ったものの、業界研究や自己分析は深堀りされないまま時が過ぎていきました。
「大学3年生の夏から12月くらいまでは“テレビ業界しか見ない”という狭い視野で就活を進めていました。人気業界なので、今思えばかなりリスキーですよね」
2-3. 2023年12月になっても本気になれず
大学3年生の12月に差し掛かると、他の就活生は本格的に動き始める時期です。しかし、当の本人は「自己分析をしっかりやったわけでもなく、企業選びの軸もない状態」。興味のあるテレビ業界しか見ていないことを客観的に自覚していなかったそうです。
この状態が続くと、「内定が取れなくても、どこで軌道修正をすればいいのか分からない」まま、就活終盤を迎えてしまうリスクがあります。
3. 転機は4月:業界を広げる重要性に気づく
3-1. テレビ業界の締切と競争率
多くのテレビ局や放送関連企業のエントリー締切は4月ごろに集中しており、当然ながら競争率も高いのが現状です。本人は4月までテレビ業界を一本に絞っていたため、万が一落ちてしまうとリカバリーが難しい状態でした。
「結局、志望していたテレビ局のエントリーは4月時点で締切になり、結果待ちの状態。内定が取れる見込みも立たず、焦りはありました」
3-2. ゼミの先生のアドバイスで視野が広がる
大きな転機となったのは、ゼミの担当教員からの助言でした。「お前は視野が狭い。そのままでは危ない。いろんな業界を見ろ」と言われたことで、ようやく自分が一つの業界に固執していることを認識したそうです。
「先生に言われて、今の自分の就活はかなりリスキーだと強く気づかされました。4月の時点で内定を取れていない自分が、いまさら軌道修正しないと本当にまずいと痛感しましたね」
3-3. 他業界に目を向け始める
そこで初めて、金融業界・人材業界・食品メーカーなど、ゼミの先輩や友人が受けていた企業にも興味を持ち始めます。大学のキャリアセンターや就職支援サイトを活用し、「どのような業界があって、自分には何が向いていそうか」を一から洗い出してみたのです。
「業界研究をしてみると、意外に“人と関わる仕事”が多いんだなとか、“文系でも活躍できる会社”があるんだなとか、発見が多かったです」
4. 電気メーカーとの出会いがSIer就活を後押し
4-1. 電気メーカーで見つけたIT部門
複数の業界を研究し始める中で、思わぬ形でIT・SIer業界に関心が向かいました。きっかけは、ある電気メーカーの説明会。そこで紹介された「IT部門」に興味を持ったのです。
「家電を作っている会社なので、営業や商品企画がメインかと思いきや、IT部門もあると聞いて驚きました。そこではシステム開発や新しいITサービスの提供をしているらしく、“ITを使って課題を解決する”って面白そうだな、と」
4-2. SIer就活に直結する課題解決の魅力
その電気メーカーのIT部門について深く調べたところ、IT技術を使って課題を解決する仕事がメインであると知り、自分のゼミで培った課題発見・課題解決の力が活かせるのではないか、と感じたそうです。そこから「IT業界全体」を調べ始め、さらにSIer就活というキーワードにたどり着きます。
「自分が参加しているゼミ活動は、地域の社会課題を見つけて、どんなアイデアで解決できるかを実践するという内容。そこから、システムでも同じように課題を解決できたら楽しいだろうと思ったんです。SIerはまさにその延長線上だと気づきました」
4-3. 2024年5月から本格的にIT・SIer業界へ
こうして、視野を広げた結果、2024年5月からIT・SIerを本格的に受け始めることになりました。就活全体で見るとやや遅めのスタートですが、それまでの経験や自己分析が糧になり、「遅いからこそ出せる強み」をうまくアピールしていく方法を模索し始めたのです。
5. SIer就活を成功させるための自己分析ポイント
ここからは、実際に未経験からSIer就活へシフトしていった大学生が、どのように自己分析を行い、企業選択やES作成に活かしたのかを解説します。
5-1. 改めてゼロから自分を振り返る
テレビ業界に注力していた期間が長かったため、改めて「なぜこの仕事がしたいのか」「どんな強みがあるのか」をゼロから考え直す必要がありました。手順としては以下を行ったそうです。
- 自己棚卸し:小中高、大学での経験を書き出す
- 価値観の抽出:どんなときにやりがいを感じたか?人と関わるのが好きか?結果よりプロセスを楽しむタイプか?
- 仕事の要素との紐付け:自分の強みと仕事の要素(課題解決・コミュニケーション・調整力など)を結びつける
「今までは“テレビが好き”しかなかったのですが、改めて過去の経験を振り返ると、“課題解決が好き”だとか、“人と話すのが楽しい”とか、もう少し本質的なところが見えてきました」
5-2. IT未経験でも通用する“課題解決力”アピール
SIer就活では、「プログラミングができるかどうか」よりも、「課題を整理し、論理的に解決策を導く力」が評価されます。もちろん技術的な素養があれば強いですが、未経験者だからこそ、ゼミやアルバイトなどで得た課題解決力をエピソードとしてアピールするのが大切だといいます。
「ゼミで地域の課題を調べ、原因を分析し、仮説と提案を出して実行した経験は、まさにSIerの仕事に近いです。こうしたエピソードを面接やESで伝えると、未経験でも興味を持ってくれました」
5-3. “人と関わる”がキーワード
本人の自己分析では、「人と関わる」仕事に喜びを感じるという結果が導き出されました。これはSIerのプロジェクトでも重要な要素で、クライアント企業やチームメンバーとの連携が欠かせません。こうした“コミュニケーション力”や“チームワーク志向”は、業界未経験の学生を評価する際に大きなアピールポイントとなります。
6. 具体的な就活スケジュールの流れ
ここでは、大学3年生の夏から大学4年生の5月(翌年5月)までの流れを簡単にまとめます。遅めに気づいても十分にリカバリーできる例として、SIer就活を検討する方の参考にしてみてください。
- 大学3年生(2023年7月〜8月)
- 就活関連のメールを受けて、なんとなくインターンに応募
- 自己分析や企業研究はほとんどしない状態
- 大学3年生(2023年9月〜12月)
- テレビ業界に絞り、ESとインターンを中心に活動
- 視野が狭いまま、業界研究を進めずに時間が経過
- 大学3年生(2023年12月)〜大学4年生(2024年4月)
- テレビ業界の本選考に注力するが、内定が確保できず焦り始める
- ゼミの先生のアドバイスで他業界にも興味を持つ
- 大学4年生(2024年4月〜5月)
- 金融・人材・食品・電気メーカーなどにエントリー
- 電気メーカーのIT部門を知ったことをきっかけに、SIer就活を始める
- 大学4年生(2024年5月〜)
- 本格的にSIer企業の説明会や選考を受け始める
- ゼミやアルバイトで得た“課題解決力”や“コミュニケーション力”をアピール
このように、就活後半で方向転換しても、自己分析と企業研究をしっかり行い、ES・面接対策を整えればSIer就活に対応できる可能性は十分にあります。
7. SIer就活で押さえるべき3つのポイント
ここでは、未経験からSIer就活に挑むうえで、特に押さえておきたい3つのポイントを整理します。
7-1. 早めの企業研究と説明会参加
IT・SIer業界は企業数も多く、一口に「SIer」といっても独立系SIer、メーカー系SIer、ユーザー系SIerなどに分類され、得意分野やプロジェクトの進め方はさまざまです。少しでも興味がわいたら、説明会に参加して自分の目で確かめることが大切です。
- 独立系SIer:特定のメーカーに依存せず、幅広いクライアントを持つ
- メーカー系SIer:自社製品やハードウェアとの連携が強い
- ユーザー系SIer:企業グループ内のシステム開発・運用をメインに行う
7-2. 未経験でも歓迎される“コミュニケーション力”
SIerのプロジェクトは多人数で進めることが一般的です。顧客と要件を詰めたり、チーム内でタスクを調整したりする必要があるため、コミュニケーション力が欠かせません。
具体的なアピール例
- ゼミ・サークル・アルバイトでのチームワーク経験
- 問題点を整理し、周囲と相談しながら改善策を見つけた事例
- 役割分担やリーダーシップを発揮した実績
プログラミング経験がなくても、こうした「他者と協働して課題を解決する力」があれば、選考で十分評価される可能性があります。
7-3. 自己分析に基づく“課題解決力”の具体化
SIer就活では「課題解決力」が重要とされます。とはいえ、「課題解決が得意です」と口先だけで言っても説得力に欠けます。過去の具体的なエピソードや、どのように問題点を洗い出し、実行計画を立て、結果を出したかなどを整理しておきましょう。
- 何が課題だったのか?(例:サークル活動で参加率が低かった)
- どのようにアプローチしたのか?(例:メンバーへのヒアリング調査、対策案の提示)
- 結果としてどんな変化が起こったか?(例:イベントの参加率が向上、活動の質が高まった)
この一連のプロセスを明確に説明できれば、ITの知識は浅くても「この人は論理的に動ける」という印象を与えることができます。
8. まとめ:未経験からSIer就活へ踏み出すために
大学3年生の夏から就活を始めたものの、当初はテレビ業界だけに注力し、視野の狭い状態だった大学生が、4月以降に他業界を研究し始め、電気メーカーのIT部門との出会いをきっかけにSIer就活へシフトしていった事例をご紹介しました。
- ポイント1:視野を広げる大切さ
人気業界だけを受けるのは非常にリスキーです。就活初期から複数の業界にアンテナを張っておくことで、後々方向転換が必要になったときに素早く動けます。 - ポイント2:自己分析をやり直す勇気
早期のインターンを経験していても、本格的に就活を始める時点で改めて自己分析を深めることで、自分の強みや適性が再確認できます。 - ポイント3:未経験でも挑戦できるSIer就活
SIerはITそのものよりも“課題解決”や“コミュニケーション”に強みを持つ人材を求める企業が多いです。文系出身でも、ゼミやサークルの経験をうまく紐付けてアピールすれば十分に戦えます。
就活は決して「早くから準備した人だけが勝つ」わけではありません。もちろん早めの準備は大切ですが、途中からでも正しい自己分析と業界研究を行い、自分の強みを最大限アピールすることで内定獲得につなげられる可能性があります。
もしあなたが「やりたいことが定まらず、一つの業界だけを見ているかも」「ITは未経験だけど興味がある」という状況なら、ぜひSIer就活も選択肢の一つに入れてみてください。ITのスキルに加えて、人と関わりながら課題を解決していくダイナミックなやりがいを手に入れられるかもしれません。
行動のステップ
- 自己分析をやり直して強みと価値観を明確化
- SIer企業の説明会やインターンに参加
- 過去の課題解決エピソードを洗い出し、面接やES対策を実施
- 複数の業界・企業を比較しながら、自分の活躍できる場を見極める
上記のプロセスを踏めば、未経験からでも十分にSIer就活を成功させる可能性が高まります。ぜひ参考にしてみてください。あなたの就職活動が、広い視野をもって前向きに進んでいくことを願っています。
以上が、大学3年生の夏から就職活動を始め、4月まで特定業界に注力した結果、遅めのタイミングでSIer就活へと転換を図った大学生の体験談と、その中から導き出せる戦略・ポイントです。未経験からのIT業界挑戦は決して珍しいことではありません。自分に向いた準備と企業研究を着実に行い、納得のいく就職活動を実現してください。