第五章
必見!採用中の人事担当者の気持ち
みんな知りたい!超極秘!学生が知らない優良企業の見極め方
【読み終わるまで10分】
第四章 4-1
鈴木
今度は、世の中にある会社についてみていこう!
田中
中小企業庁「中小企業白書 小規模企業白書 2021年版下」を元に作成
鈴木
日本の会社は、84.9%が小規模企業、14.8%が中小企業、大企業はわずか0.3%。
一般的に小規模企業は経済的な企業体力も少なく、教育体制も整っていないので新卒採用を行っていないの。
だから、大企業か中規模企業の「約54万社(全体の企業の約15%)」の中から就職する1社を決めることになるわ。
田中
鈴木
えー!約15%の中から!それでもかなり多いですね、、!たくさん会社はあっても、どこでも採用を行っている訳ではないんですね。あと大企業とか中小企業の定義ってあるんですか?
田中
鈴木
へー、業態ごとに定義が違うんですね!
全然知らなかったです。
田中
鈴木
ちなみに、大企業と、中規模企業・ベンチャーを比較するとこんな感じ。それぞれメリットデメリットがあるから、特徴を比較してみてね。
小規模事業者は一人代表の会社なども含んで会社規模の違いが大きくて一概に言えないのと、新卒募集はほとんどされていないから割愛するね。
田中
鈴木
いろいろと比較するポイントがありますね!
うーん、僕は、どんなポイントを重視したいかなぁ、、、
田中
鈴木
それぞれ解説していくと、まず大企業が人気なのは「給料・待遇」、「福利厚生」、「社会的信用・ブランド力」などの多くの人が重視したいポイントが優れてるからだね。この辺のポイントはみんな高いに越したことないし、重視する人が多いでしょ?あと新卒はポテンシャル採用だし教育が充実しているかを気にする学生も多いよね。
田中
鈴木
確かにそうですね!
会社自体も歴史があって歴史の浅い中規模・ベンチャー企業に比べると安定しているイメージです。僕も教育とか研修がしっかりしてもらえる会社だと安心します!
田中
鈴木
そうだよね、ただ、その分応募が殺到して優秀な学生が選抜されるんだよ。採用予定人数の数百倍の応募がきたりするから。あとは出世競争も激しくて上のポストも埋まってることが多いからなかなか出世は難しくなってくるね。
色々あるけど、大企業を選ぶ一番のデメリットは内定が取りにくいってこと!
私の友達なんか30社エントリーして1社も受からなかった子もいるよ、、
田中
鈴木
そんなに受けたのにですか、、!うーん、僕はあんまり競争が好きじゃないし、そんなに落とされたら心が病んでしまいそうです、、泣
逆に中規模・ベンチャー企業はどうなんですか??
田中
鈴木
人気と難易度はトレードオフだよね。入れたとしてもその後は熾烈な出世競争もあるし。一方で中小・ベンチャー企業はさっきのような給料だったりみんなが重視するポイントは劣るね。ただ、企業の成長が早いし、縦割りの役割というより横断して仕事をすることも多いから幅広いスキルや経験が身につくよ!
何よりみんなに認知されていない企業も多いから応募数も少なく内定が取りやすいのがいいよね。
田中
鈴木
それぞれ一長一短なんですね、、!
内定取れるか不安が大きいので内定の取りやすさは魅力的ですね、、!
田中
第四章 4-2
鈴木
これからはさっきも話した大企業についてもう少し深掘りしていくよ!
田中
鈴木
よろしくお願いします!
安定していそうだし、漠然と憧れはありましたが、この前の話を聞いて僕なんかが内定取れるかなって心配になってきました。。
逆にいうと、僕の場合は給料は将来の家族を養えるくらいあればいいので、成長機会と何より内定の取りやすさのところで魅力には感じています。30社受けて全部落ちるとかはちょっと耐えられなそうです、、泣!
田中
鈴木
そうだよね、、企業から不合格のメールがたくさんくるのは自分が否定されてるようで悲しいよね、、大企業ってCMが流れたり、BtoC(Business To Consumer:個人消費者向けのビジネス)でみんなに身近な認知されてる企業が多いから余計色んな学生が応募するんだよね。流石にみんな知らない企業を受けようと思わないから、とりあえず知ってるところ受けとこうみたいな。
田中
鈴木
確かに知ってる企業はとりあえず受けとこうって感じになりますね。
普段自分が使ってる商品やサービスの企業は特に魅力的に感じますし。
田中
鈴木
そうだよね、確かに大企業には魅力的な企業が多いね。だけどみんなに知られている大企業が全て優良企業であるとは限らないんだよ。大企業かそうでないかよりも優良企業かどうかの方が働く立場として本質的だと私は思うよ。
だって、いくらブランドがあってみんなに知られていても、待遇だったり、働く環境が良くなかったら嫌でしょ?
田中
鈴木
それは確かにそうですね、、!
大企業は基本的に安定していていい企業だと思い込んでました、、!
田中
鈴木
少し整理してまとめてみるね。下の図を見てみて。横軸がみんなに知られているかという「認知度を示す軸」。大企業はCMなど学生さんの目にも入るような広告を打ってたりするから右の方に行きやすい。縦軸は、「優良企業かどうかを示す軸」。まずは少なくともこの縦軸が半分以上のホワイトの領域の優良企業に行きたいよね。
田中
鈴木
なるほど、わかりやすいです!
まずはとにかく上半分を目指せばいいんですね!
田中
鈴木
そうだね、そこは労働環境に直結するから必須条件だと思うよ。
あとはもう一つの軸、認知度について考えてみよう。鈴木君はどんな会社の認知度が高くなると思う?
田中
鈴木
そうですね、やっぱりテレビCMとかでみる会社は身近に感じて知ってる企業が多いと思います。
田中
鈴木
そう、他にも普段身近に使っている商品やサービスを扱ってる企業のことは知ってることが多いよね。あとは単純に就活ランキングに出てくるような会社も今だと意識したりするよね。就活で初めて知った企業も多くない?
田中
鈴木
確かに!就活をきっかけに知った会社は結構多いですね!
田中
鈴木
鈴木君がよく目にするような大企業は大体右上の「認知度が高い優良企業」が多いよ。そもそも学生が目にするテレビ広告はお金がないとできないし、いい企業じゃないと就活ランキングにも入らないよね。
この右上の領域は、第二章で話したような人気業界(金融、不動産、IT、総合商社)の会社が入ってくるよ。学生にとっても人気で競争の激しいところだね!
でもね、みんなにあまり認知されて「いない」企業でも、「優良企業」もあるんだよ!図で言うと左上のところに入る企業。まさに隠れ優良企業だね!
競合就活生は少なくて、優良企業の良いところ取り!だからもしかしたら鈴木くんにも合うかもしれないよ!
田中
鈴木
確かに隠れ優良企業であればみんなに知られていなくて内定ももらえやすいし、優良だしで最高じゃないですか!
だけど、そんな企業、僕に見つけられるかな、、?見つからないから「隠れ」なんじゃないですか??気になります!先輩、助けてください!
田中
鈴木
わかった、任せて!まず認知度が低くなりやすい企業というのは、第二章の復習にもなるけど、「BtoB企業(Business To Business):法人企業向けのビジネス」に多いよ!普段学生さんが触れる機会がないからだね!
鈴木君が志望しているIT業界でいうと、楽天とかYahooみたいなBtoCのIT企業は認知されてて人気だよね。あとはこれも第二章で説明したけど、BtoBでサービス展開するSIer企業は就活ランキングに出て来る人気企業もあるからそこも右上に入ってくるよ。
つまり、IT業界だったら就活ランキングに入ってこないようなあまり認知されていないSIerの企業が隠れ優良企業の可能性が高いね!
田中
鈴木
なるほど、、なんとなくわかった気がします!
ナビサイトとかで自分からBtoBのSIer企業を色々探してみればいいんですね!
でも自分で探すのめんどくさいですね、、
田中
鈴木
そこは自分のためだから頑張ろう笑!でも第三章でも話したように、BtoB企業のエンジニアの中でも社内SEのようにコスト部門に入るようなエンジニアの場合は、待遇も比較的下がったりしてしまうから注意してね!プロフィット部門として売上に直結するようなSIerのエンジニアの方が待遇もいいんだよ!
田中
鈴木
わかりました!ありがとうございます!
あ、でも隠れ優良企業がいそうなポイントはわかりましたけど、肝心の優良企業の見極め方がわからないです、、!こっちも教えてください!
田中
第四章 4-3
鈴木
よし、それじゃあ、ここからかなり大事な優良企業の見極めポイントを確認していこう!鈴木君が長く働く会社を選ぶ上で、ここでの考え方はとても大事な考え方だからしっかり理解してね!
田中
鈴木
お願いします!
田中
鈴木
結論から言うと、見極めに大事となってくる大きなポイントは以下の3つだよ。
財務状況は見るポイントがたくさんあるからその中でもポイントが分かれるけど、大きくは3つ。それぞれ一つずつ説明していくね。
田中
鈴木
この3つを抑えればいいんですね!
入る会社が優良かどうかで今後の人生が決まってきますもんね、、!
しっかり勉強します!
田中
3年後離職率
「低い」方が新卒の定着率がよく、教育もしっかりしている可能性が高い。
同僚との仲もいい可能性高い。
厚生労働省の調査によると企業の3年後離職率の平均は32%。
鈴木
まずは3年後離職率。離職率が「高い」会社ってどんなイメージがある?
田中
鈴木
そうですね、辞めるくらいなのでそれだけ嫌な理由があるのかなと思います。残業時間が長かったり、パワハラが多かったり、待遇が悪かったり、、
今僕は内定取れなくて必死なのにせっかく入った会社を3年で辞めるなんてよっぽどだなって。。僕は長く働いていきたいので。
田中
鈴木
そうだよね、鈴木君は就活中で色んな企業に話を聞くと思うけど、企業からすると採用期間中の学生さんはお客さんと同じなのね。
企業は優秀な学生に入社して一緒に働く仲間になってほしいという採用面でのお客さんとしての側面もあるし、鈴木君がよく使う商品やサービスを扱うBtoC企業にとっては、いい印象を受ければそれらのサービスを使ってもらうことにも直結する可能性があるんだよ。
田中
鈴木
確かにこの前説明会にいったS社の人事さんが優しかったから、その会社のお菓子買いましたよ!笑
家族にもこの会社いいよって話しましたし!
田中
鈴木
私も就活中に好印象の企業の商品買ったことある笑
つまり、色んな側面からいい印象を持ってもらうように企業側は振る舞うんだよね。でも、実際に入ってどうかってのは入った人しかわからないよね。
それがわかる指標として参考になるのが「3年目離職率」なの。ネットの口コミも参考になるけど、辞めた人が悪く書いてるケースもあるし、離職率は数字として出るから誤魔化しが効かない事実だよね。
田中
鈴木
数字として出たら誤魔化しが効かないですね、、!この数字はどこで調べればいいんですか?
田中
鈴木
大きめの企業なんかだと、「就職四季報」という毎年発行される情報誌に乗っていたりするよ!ちなみに、厚生労働省の調査によると、企業の3年後離職率の平均は32.0%。
この数字よりも、大幅に高い企業の場合は、働く環境や教育制度、給料面などあまり良くない可能性があるから要注意だね。
田中
鈴木
なるほど!だけど離職率が高い企業からすると不利になるから出したくないんじゃないですか?
田中
鈴木
鋭いね!鈴木君の言う通り、就職四季報にも掲載していない企業もあったりするから、その場合は、説明会などで人事の方にこっそり以下の観点でお話を聞いてみると教えてくれるかも知れないよ!
・3年前の新卒入社人数
・現在当時の新卒社員が何人残っているか
真剣に御社のことを知りたくて応募を検討しているからって言えば、数字を把握している人事の方だったら教えてくれるかも知れないね!
田中
鈴木
確かに直接聞いてみるのが一番確実ですね。
田中
鈴木
そうだね、ただ、辞める人の中には成果を上げすぎてステップアップを求めての前向きな転職の可能性もあるから、あくまでも参考に。
内訳を知りたい場合は説明会などで同じようにこっそり人事の方に質問してみよう。企業もあまり公にしたくないケースもあるからみんなの前での質問はしないように注意しようね。
あとは逆に離職率が「低い」企業には以下のような特徴があることが多いからこっちも参考にしてみてね!
田中
鈴木
なるほど!離職率が「低い」企業は社員に優しいからみんな辞めづらいんですね!
新卒で入ってからちゃんと育ててくれて、待遇も良く、先輩たちも優しそうなイメージがあります!
田中
新卒採用数と全体従業員数の推移
新卒採用数が多い場合、新卒を採用しても売上が回るくらい仕組み化ができており、事業拡大を見通せそう。
新卒採用数が多いのに、全体数があまり変わらない場合、 辞める人も多くてブラックな可能性あり。
鈴木
そうだね!ホワイトなイメージがあるよね。
次に、新卒採用数と全体従業員数の推移だね。
ちなみに極端な例だけど毎年、
①100人新卒が入って、1人も辞めない会社(全体で100人増加)
②300人新卒が入って、半分辞める会社(全体で150人増加)
だったら鈴木君はどっちの会社がいい?
田中
鈴木
半分も辞めるんですか、、全体の数は増えてそうですけど、やっぱり人数は少し少なくてもちゃんと定着している①の方が社員に優しいイメージがあっていいと思います。
田中
鈴木
そうだよね、基本的には全体人数が拡大していて、新卒採用数も全体割合に対して高い割合で拡大しているケースが企業の成長度が高いと言えるよ。
例えば会社全体が150人の会社で新卒を50人も募集していたらすごくない?
田中
鈴木
確かに、僕ら新人はまだ働いたことないし、教えてもらわないと何もできないから教育にも手間がかかりそうですし、仕事の成果を出すのにも時間かかりそうですもんね。。
田中
鈴木
そう!新卒を採用するってことは、実務経験のない新卒を教育し、成果を上げられるような仕組み化できているってことにもなるからよっぽど拡大の勝算があるはずだよね。ただし、さっきの離職率の話とも重なるけど、新卒を大量に採用していても、離職率が高い場合は要注意だよ!単価の高い商材を扱う営業会社に多いけど、数十人採用して半分くらい残れば元が取れるって感じで採用してるケースもあるから、よく情報収集して確認した方がいいよ!
田中
鈴木
なるほど。新卒募集人数なんかはリクナビやさっきの就職四季報など過去のデータをみればいいと思いますが、全体人数の増加は会社全体で言うと中途採用の人だったりもいると思うんですが、どうやって確認したらいいんですか?
田中
鈴木
そうだよね、これは説明会の会社説明資料で拡大推移などを説明されることが多いよ。外部から調べるには以下のような情報からみるといいよ。ただし、鈴木君のいう通り中途採用人数や定年退職などの色んな人数の出入りがあるから、詳しい内容は人事の方に聞いてみよう。
田中
鈴木
わかりました!調べてみます!
田中
第四章 4-4
BS(貸借対象表)
ある地点での会社の調達した資金(右側:上(負債)・下(自己資本))の使い道(左側の表:資産)を表したもの。
自己資本のうち利益剰余金(過去からの貯蓄)で会社のゆとりを見る。
PL(損益計算書)
一定期間(原則一年間。上場企業だと四半期の内訳計上もあり。)で会社が「どれだけ売上が上がり」、「費用を何に使って」、「どれくらい儲かったのか」を表すもの。
<重要指標>
・営業利益=本業の儲け。企業の本質的な利益
・経常利益=その他の損益も含めた企業全体の利益
・税引前当期純利益=臨時の損益も含めた税引前の利益
・当期純利益=税金が引かれた最終利益 (※非課税の年もあるので注意)
鈴木
ここからは難しいけどかなり大事な観点!できるだけ噛み砕いて伝えるからしっかり理解してね!鈴木君は財務諸表って言葉聞いたことある?
その中のBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)などが優良企業の見極めにとても大事なんだけど。
田中
鈴木
もちろん知ってますよ!昔ちょっと勉強して簿記3級持ってるのでそこに出てきました!
田中
鈴木
え、それはすごいね!じゃあどうしたらいい企業かって私が教えなくてもわかるよね?
田中
鈴木
えーっとそれは、、もう数年前だし、、あの時は詰め込みで暗記してとったからほとんど覚えてないです、、泣
田中
鈴木
そうだよね笑!私も実際に働いてからいろんな会社さんの財務諸表を見るようになって初めて腹落ちしてきたから。今からちゃんと鈴木君でも理解できるように説明していくね!そういえば、いきなりだけど会社って実は倒産するんだよ。鈴木君が好きな旅行で使うJALも昔倒産してるの知ってた?
田中
鈴木
ありがとうございます!
え、そうなんですか!?全く知らなかったです、、!
田中
鈴木
実は30年以上続く会社って1%もないんだよ。それだけ会社経営を安定的に続けるのは難しいの。倒産の主な原因になるのはやっぱりお金。鈴木君もせっかく苦労して入社した会社が倒産したら嫌でしょ?そのために潰れない会社かをBS、PLなどをみてしっかり見極めていこう!
田中
鈴木
そんなに倒産するんですね、、!僕も会社が潰れて路頭に迷うのは嫌なので、ちゃんと勉強します!
田中
鈴木
うん、じゃあ一緒に勉強していこう!まずは全体を簡単にまとめると、PL(損益計算書)は決まった期間(1年間とか)に会社が生み出した利益がわかるもので、BS(貸借対照表)は会社の蓄積の成績が分かるもの。PLでその年赤字でも、BSで自己資本の割合が多ければ会社として健全な状態と言えるよ。
逆に、PLで1年間が黒字だったとしても、BSで自己資本の割合が少ない場合は、財政状態が不安定と判断できるよ。
テストの成績も常に好成績を取れる人もいれば、成績が安定しない人もいるよね。まとめると、PLはテスト1回の成績、BSはGPAみたいなイメージかな!
田中
鈴木
なるほど、わかりやすいです!
田中
鈴木
見る順番としては、まず今までの成績である過去のBSを数年間見るといいよ。過去の成績がどう成り立っているのかを数年間見るような感じだね!その後にPLかな。それぞれいい年もあるし悪い年もあったりするから3年間分くらいはみておいたほうがいいね。
田中
鈴木
会社も学校の成績と同じでいい時と悪い時がありますし、
数年見ておいたほうがちゃんとした成績が見極められそうですね!
田中
鈴木
そうだね!そしたらまずは1年間の会社活動を表しているPLについて詳しくみていこう。この活動の積み重ねが会社を構成しているから大事だよ。
この図を見てみて!鈴木君はこの図を見てどっちの会社が優良だと思う?
田中
鈴木
え、B社の方が売上が3倍以上もあるんだからB社じゃないんですか?
100億円と30億円で売上が全然違いますし。
田中
鈴木
そうだね!もちろん売上は大事。ただ、注目すべきは「利益」で、どれだけ売上があろうが、費用が増えて赤字になったら会社は立ち行かなくなるからね。
だからA社の方が優良だといえるよ。
田中
鈴木
なるほど、、でも売上が大きい方がすごくないですか?たくさん売れてるってことですよね?
田中
鈴木
そうだね、もちろんB社は売上がA社より大きいから工夫次第で費用を切り詰めて利益がA社を上回る可能性はあるね。
ただ、会社経営の効率性はA社の方がいいよね、少ない売上で大きな利益を上げているわけだから。
田中
鈴木
確かに!A社は効率的な経営をする優秀な経営者さんがいるってことですよね!
田中
鈴木
そうだね、あとはビジネスモデルなんかも利益率に影響するからそう言ったところもみていくといいと思うよ!
あとは利益と言ってもいろんな利益があるからそれぞれの特徴について理解しておこう!代表的なPLの利益について注目するポイントも整理したからしっかり理解してね!
田中
鈴木
わかりました!勉強します!
田中
企業の本業のビジネスとして販売している商品・サービスで生み出された利益。企業の本質的な稼ぐ力を表す。
例)製造業であれば、製造した商品を販売することで生じた利益。
・本業の儲けを示すので、基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・赤字の場合は原因を把握する。今後に向けた投資で赤字になる場合など目的が明確になっていて、その後黒字に転換する見込みがあれば問題ないケースもある。
・過去の数字もみて利益体質かを確認する。
営業利益に本業のビジネス以外での収益や損失を反映させたもの。企業全体の稼ぐ力を表す。本業以外で経営基盤を支える収入や、逆に借入などの定常的に発生しやすいものが反映される。
例)製造業の会社が自社ビルを保有し、その家賃収入を得ている場合、本業以外の収益なので、関係する収益、損失を営業利益に加味される。
・本業の儲けを示す営業利益も含んでいるので基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・本業以外の臨時的な営業外収益での黒字化や、慢性的な利息支払いなどその他懸念点がないか(経常利益/営業利益の差が小さければほとんどの利益を本業で稼いでいると言える)。
・営業利益が赤字で経常利益が黒字の場合など、一時的な営業外収益で帳尻を合わせていないか確認する。(本業が利益体質かも過去のPLなどで確認)
経常利益に臨時的な利益や損失を反映させたもの。普段の経営では定常的に発生しないような臨時的な特別利益や特別損失が反映される。
例)製造業の会社が自社ビルを保有し、そのビルを売却した場合、特別利益となり、経常利益に加味される。
・企業全体の利益を表す経常利益も含んでいるので基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・臨時的な特別損益が加味されるので、基本的には経常利益と近い値になる。違いがあれば内容を確認する。
経常利益に特別損益(不動産売却などの普段発生しない臨時的な損益)を反映させた税引前当期純利益から法人税などの税金を反映させたもの。その年の最終利益。赤字の場合は当期純損失という。
・最終利益なので、基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・黒字の場合は税金で30%程度税金がかかるので、その分引かれているはず。黒字なのに税引前当期純利益と数字が変わらない場合は、過去に赤字が蓄積しているはずなので、過去のPLなどで利益体質か確認する。
鈴木
色々な情報が多くて混乱するけど、要は利益は黒字で増益してるに越したことはないってことだね!ただし、投資だったり目的がはっきりしていたり、一時的なものだったりするから、1年分のPLだけでは判断できないから過去の分もみて確認しよう!
田中
鈴木
わかりました!まだ慣れないですが、復習して理解します!
田中
鈴木
うん、大事なことだからしっかり理解してね!
利益の考え方を理解できたところで、さっきの問題に戻ってさらに質問だけど、例えばA社は社員10名で、B社の会社が社員100名だけどこの点はどうかな?
鈴木くんはこれらも踏まえてどっちの会社が優良だと思う?
田中
鈴木
さっきの段階でもB社が3億、A社が10億の利益だったからA社が優良ということでしたけど、さらにA社の方が社員10分の1ですか、、!
それだったらやっぱり少ない人数で多くの利益を出してるA社の方が優良な気がします!
田中
鈴木
そうだね!やっぱり人数が少ない方が人件費も少なくすむし、効率的なスリムな経営をしてるといえるよ!
あとはこれから働く鈴木君にとっても大きなメリットがあるんだよ!
次の大事な観点は「社員一人当たり経常利益」だよ!
田中
経常利益を社員数で割った利益額。多ければ多いほど社員の給料や福利厚生などで還元される可能性あり。
経常利益は既に社員の 給料を支払い後の利益となっており、会社全体の稼ぐ力を示すので、今後の給料を支払う潜在的な原資になる。
とにかく多いに越したことはないが、平均年収とのバランスを見る必要あり。現状平均年収が高い場合は既に還元されているので、伸び代が小さい可能性が高い。
平均年収+(直近数年平均経常利益/社員数)が現状の期待できる給料の潜在力なので、自分の希望にあっているか確認する。
鈴木
B社は利益3億で社員100人だから、社員一人当たり利益は300万円で、A社は利益10億円で社員10人だから、社員一人当たり利益は1億円ですね、、!全然違いますね!!確かに利益が多ければ還元が多そうですが、イマイチピンとこないです、、どうして多いと僕らの給料に反映されるんですか?会社として別のところに使われるんじゃないですか??
田中
鈴木
もちろん会社としての投資に回されるケースも多いよ。ただ、社員の給料UPも会社を大きくするための投資だから、社員一人当たり利益額が大きければ可能性はあるよ。
さっきも出した図なんだけど、社員の給料は「販管費(販売費及び一般管理費」というところに含まれていて、経常利益はそれらを差し引いて、本業以外での損益も加えた会社全体の利益額なんだよ。
つまりそこから算出した社員一人当たり利益額は、給料を払った上での余った利益だからその金額が大きければ大きいほど給料に反映する余裕があるということだね。
田中
鈴木
給料以外にA社は1億円、B社は300万円の余裕があると考えるとA社の方が今後給料は上がりそうですね!
田中
鈴木
そう、つまりどんぶり勘定にはなるけど、A社の場合、最大1億円社員の給料を増やしたとしても会社は赤字にならなかったってことだね!
もちろん、会社経営にはいろんな経費がかかるし、調子がいい時と悪い時があるからそんなにすぐ上げたり下げたりはできないけどね。
あくまでもそういう余力があるという意味でもこの考え方は企業選びで大事だと思うよ。この状態がずっと続けば本当に給料は上がると思うし。
田中
鈴木
なるほど、確かに今年は赤字ですってなってた企業も次の年に最高益になりました!とかニュースで聞いたことがあります!
田中
鈴木
そうだね、会社経営において継続的に利益を生み出し続けることはとっても大事なの。あとは経常利益の後に税金などが引かれて最終的な利益になる当期純利益なんだけど、これはあくまでもPLの一年間の活動の利益で、その当期純利益額は毎年貯蓄されていくんだよ。
田中
鈴木
蓄積されていくってどこに蓄積されるんですか?
田中
第四章 4-5
BS(貸借対象表)
ある地点での会社の調達した資金(右側:上(負債)・下(自己資本))の使い道(左側の表:資産)を表したもの。
自己資本のうち利益剰余金(過去からの貯蓄)で会社のゆとりを見る。
鈴木
どこに蓄積するかを説明するために、ここからBSの話に移っていくね。またさっき出した図に戻るけど、PLとBSは繋がっていて、当期純利益はBSの「利益剰余金」に移動するんだよ。ここは過去の当期純利益を積み上げた貯蓄の数値で、これが大きければ大きいほど企業がPLで蓄えた利益に余裕があることを示しているよ。株の配当金なんかもここから配当されるよ。
田中
鈴木
なるほど、確かにさっきBSはGPAみたいな形で蓄積されていくっていってましたもんね!
田中
鈴木
そうそう!鈴木君もイメージが湧いてきたね!
この利益剰余金が過去の当期純利益を積み上げだから、ここがどのくらい積み上がっているかを確認しておくといいよ。
もちろん積み上がっていればいるほど余裕があるってことだから、社員に還元される可能性が高いし、マイナスになっていたら還元される可能性は現状低いといえるね。
田中
1年間会社活動をして出した当期純利益(PL)が蓄積されたもの。
多ければ多いほど利益体質の会社になっていると判断できる。
・そもそもマイナスになっていないか。
・マイナスの場合、投資など赤字の原因が明確で今後プラスになりそうか。
・プラスの場合、十分な貯蓄があるか。
利益剰余金/直近数年の平均経常利益(当期純利益は税金や特別損益なども含むため、会社全体の稼ぐ力を示す経常利益で見る)がそのまま損失(マイナス)になった時に数年程度(少なくとも3年以上)は持ち堪えられる程度の蓄えがあるか。
鈴木
利益の蓄積ということだったので、プラスになると思ってましたが、マイナスになることもあるんですね。
田中
鈴木
そうだね、いわゆる赤字が続いているときは利益剰余金がマイナスされて削られていくから、最終的にマイナスの金額になるケースも多いよ。
その場合は、PLの時にも言ったけど、どういう理由でマイナスになっているのかは確認した方がいいね。赤字だから悪いというわけではなくて、成長のために一時的に投資が重なって赤字になっているケースも多いから。
田中
鈴木
なるほど。成長のためには投資は必要ですもんね。ちなみにどのくらいの利益剰余金があれば優良企業って言えるんですか?
田中
鈴木
これも会社によって事情が複雑だったりするから一概には言えないけど、あくまでも目安として、直近数年分の平均経常利益の3年分くらいはあるといいかなと思うよ。経営が傾いた時に通常稼ぐ利益がそのまま赤字になるケースくらいは可能性があるから、その状態が3年持ち堪えられれば経営の改善もすると思うしね!
田中
鈴木
確かに3年もあれば経済情勢も変わりますしね!その目安を参考にします!
田中
鈴木
利益剰余金以外にもBSには大事なポイントがあるから説明していくね。
その前にBSの全体感をイメージすると理解しやすいと思うから図にまとめてみたよ。まず大きくBSを縦と横で見てみよう。横から見ると右から左にかけて「お金をどう調達して、どんな形で持つか」を表しているよ。
田中
鈴木
右側がどう調達したかを表すっていうのはどういうことですか??いまいち調達というのがイメージができないです、、!
田中
鈴木
ごめんごめん、噛み砕いて説明するね!
会社っていうのは必ず誰かがお金を持ち寄って創られるものなんだよ。一番最初は資本金っていうお金を創業者が自分で用意(調達)してスタートするの。今は新会社法ができて1円から会社が創れるようになったけど、昔は株式会社は1000万円ないと創れなかったんだよ。
田中
鈴木
え、知らなかったです!会社って1円で創れるんですか!?
田中
鈴木
そうだよ、あまり馴染みがないからびっくりだよね!厳密には登記っていう国への申請代などで色々お金がかかるから30万円くらい初期費用はかかるけど、会社自体を創る元となる「資本金」は1円からでOKなの。この資本金はさっき話した利益剰余金と同じ純資産というBSの右側下のところに分類されるんだよ。これは「自分で調達したお金」だね。利益剰余金も自分で稼いだお金という意味で右下に分類されるよ。
田中
鈴木
なるほど、右下は「自分で調達」ということですね。そしたら右上はどうなるんですか?
田中
鈴木
右上は「人のお金を借りて調達」する感じだね。鈴木君が一番イメージしやすいものとしては銀行からの借入になるかな。
右下は自分の自己資本で調達したり、会社で利益を出して貯めていくことで増えていくんだけど、それだけだと限界があるよね。もっと事業投資を行って拡大させていきたいけどお金がない場合は、銀行からお金を借りてきて事業を拡大したりするんだよ。
田中
鈴木
え、それって借金ってことですか!?借金がある会社ってやばそうな気が、、
田中
鈴木
ちょっと待って鈴木君、ほとんどの会社が銀行から借入をしているんだよ!
借金っていうと悪いイメージがあるかもしれないけど、借りた金利以上のリターンを事業で出せれば問題ないし、投資チャンスを逃すことの方がリスクだしね。
あとは銀行は「晴れの時に傘を差し出して雨の時に引っ込める」っていうように、基本的に会社の調子のいい時にしか借りれないから、会社として信用がある証拠なんだよ。
田中
鈴木
借金ってなんか怖いイメージでびっくりしてしまいました、、
田中
鈴木
ちゃんと借りたお金を資産として収益を生むものとして持っていれば問題ないんだよ。あとはそれこそコロナだったり、経済危機に備えて会社の調子がいい時に現金を蓄えるために借りるケースもあるよ。
会社は現金がなくなったら終わりだからそういう借り方もあるんだよ。
田中
鈴木
なるほど、借金のイメージが変わりました、、!
田中
鈴木
ただ、お金を借りてもそれを収益を生まないようなものに変えていたら意味がないよね。お金をしっかり有効活用してどんな形で会社に持っているかが次の横軸の左側の話になるよ。
田中
鈴木
どんな形で持っているかというのも、、いまいちピンときてないです!どういうことですか?
田中
鈴木
説明するね、どんな形で持っているかっていうのはさっきのBSの右側から調達したお金を何に変えているかってこと。そのまま現金で持っている場合も当然あるし、建物などの不動産だったり、ソフトウェアに変えて持ってる場合もあるの。大事なのはちゃんと収益に繋がる活きた資産に変わっているかってこと。
田中
鈴木
活きた資産ってどういうことですか?
田中
鈴木
ここからはBSの「縦」の話にもなるけど、基本的にBSは上に行くほど流動性が高く(すぐ現金化しやすい)、下に行くほど流動性が低い(現金化しづらい)のね。せっかく調達したお金がお金に変えられずに動かせなかったら経営的に負担になりそうでしょ?固定資産がしっかりと有効活用されていれば活きた資産だと言えるよ。
田中
鈴木
確かに。資産の場合、下の固定資産が多いとお金に変えられずに自由に使えるお金が制限されるってことですよね?確かに建物や車両とかはすぐ売れないですしね。
田中
鈴木
そうなの。だから流動資産はすぐ現金に変えられるからそこまで気にしなくてよくて、固定資産の割合が多くて、あまり有効活用されていないものがないかは確認した方がいいよ。特に最近のIT化でシステム開発を行ったけど、あまり有効活用されていなくて収益を生んでいないものとかも多いからね。
田中
鈴木
なるほど、ちゃんとBSの方も教えてもらったポイントを確認します!
田中
第四章 4-6
鈴木
今まで色々と優良企業を見極めるポイントをまとめてきたから、ここからは具体的に説明したポイントに照らし合わせながら優良企業の分析をしてみよう!
人に関わる離職率や社員数の全体推移などは公表していない企業も多いからその場合は説明会などで聞いてみてね!ここではお金に関わる財務の観点から具体的に分析してみるよ!
田中
鈴木
わかりました!人の部分は人事さんに説明会で聞いてみます!
財務分析お願いします!
田中
鈴木
そしたら鈴木君が目指しているIT企業で就活ランキングにもよく出てくる人気企業、オービックの財務諸表の抜粋したものを見てみよう!
田中
・社員数(連結):2054人
・平均年間給与:959万円
鈴木
まずはPLの分析状況だけど、それぞれの利益の見方のポイントで伝えたように利益全てが黒字、増益でそれぞれの差分も理想的だよね。
田中
鈴木
オービックは僕も就活ランキングで知ってます!CMも流れてますよね。すごいですね、本業以外にも子会社からの利益や不動産収入まであって盤石な感じがします、、!
田中
鈴木
そうだね、オービックは人気企業だね!平均年収が既に959万円で高いんだけど、ここからもう一つの指標、「一人当たり経常利益」を見てみよう。
田中
鈴木
既に1000万円近い給料なのに、さらに3倍近い利益を出してるってことですか、、!
田中
鈴木
そう、当期純利益も増益で上がっているし、このままいけばもう少し給料は上がりそうだね!
田中
鈴木
1年間の当期純利益の6倍も利益剰余金があるってすごいですね、、!これなら確かに社員への還元もありそうな気もします!
田中
鈴木
すごく財務的に優良企業だよね!そしたら次のケースを見てみよう!
田中
・社員数(連結):87人
・平均年間給与:564万円
鈴木
この企業は直近年度は3つの利益全て黒字ですし、優良な気がしますがどうなんでしょうか?
田中
鈴木
確かに直近は黒字なんだけど、前年度の経常利益が赤字になっていて、二年での平均は赤字になるからまだまだ赤字体質といえるね。
田中
鈴木
なるほど、ただ、営業利益は両方黒字なので本業は問題なさそうですね。営業外費用の金額が大きくて赤字になっていますね。
田中
鈴木
そうだね、二年とも関連会社に関係する損失が相対的に大きく計上されているね。あとは注意すべきは特別利益の金額が全体で大きな割合を占めているから注意だね。
鈴木君、特別利益ってどんなものか覚えてる?
田中
鈴木
えーっと、特別利益は臨時に発生する普段はあまり発生しない本業以外の利益ですよね?
田中
鈴木
そう、この企業は持分変動利益っていう関連会社の株式を手放したりして資金を得ることによる利益が計上されているね。いずれにしても毎回発生する利益じゃないから、この割合が大きいのは一時的なボーナスに依存している可能性が高いから少し注意が必要だね。次は「一人当たり経常利益」を見てみよう。
田中
鈴木
あれ、マイナスになっちゃいましたね。。これはどう捉えたらいいんですか??
田中
鈴木
これはどういうことかというと、社員一人当たり約70万円の赤字状態ということだね!この会社の平均年収が564万円だから、本来は564万円-70万円=494万円くらいでないと黒字にならないということなんだよ!
田中
鈴木
え、給料下がっちゃうんですか!?
田中
鈴木
もちろん今までの蓄えだったり一時的な可能性もあるからすぐにどうこうということはないと思うけど、この状態が続くと下がる可能性はあるかもしれないね。
こう考えると鈴木君の生活にも直結してくるから企業選びの見極めが大事なのがわかるでしょ?
田中
鈴木
はい、、!急に怖くなってきました!
田中
鈴木
そうだよね、鈴木君の人生に関わることだからちゃんと見極めようね!
次はBSの方を見てみよう!
田中
鈴木
あれ、利益剰余金も赤字ですね、、!利益剰余金が赤字ということはしばらく赤字だったってことですね!
田中
鈴木
そうだね、しかも赤字の金額が大きいね、、!12億7094万円も赤字。この企業はここ二年の平均経常利益は-6125万円だし、仮に直近の経常利益の2237万円の黒字が続いたとして、黒字になるまでに56年かかるよ!
もちろんその間に成長したりするだろうからその通りにはならないと思うけど、赤字体質なのは変わらないからどうなるかは不透明だね。
田中
鈴木
56年も!そう考えるとしばらく給料は上がらなそうですね、、逆に下がりそうな気が、、!こう考えると企業によって全然違いますね!僕はIT企業でエンジニアになるのも決めたし、オービックにエントリーしようと思います!
田中
鈴木
うん、いいと思う!だけど注意してね!オービックは人気企業だし、既に給料も高いから応募も殺到するよ!前も出した図の右上の部分だね!
田中
鈴木
そうですよね、僕も知ってたくらいだから、他の優秀な学生も狙ってますよね、、
田中
鈴木
そうだね、もちろんチャレンジするのはいいけど、その前に左上の図の優良企業だけど他の人に知られていない「隠れ優良企業」で安心内定をとってからチャレンジした方がいいと思うよ!
鈴木君が目指してるIT企業にはBtoB企業も多くて隠れ優良企業が多いから!
田中
鈴木
忘れてました、、!隠れ優良企業はどうやって調べればいいんですか?教えてください!
田中
鈴木
上場企業であれば、四季報や各会社のHPに「IR情報」という投資家向け情報があって、さっきの財務諸表が公開されているから、私が教えた観点で調べてみるといいと思うよ!
田中
鈴木
なるほど!公開されてるんですね、、!でも時間もないし、ちょっとめんどくさいな、、泣
田中
鈴木
しょうがないなぁ、、!私が分析したIT企業の情報をあげるからそれで隠れ優良企業をチェックしてみるといいよ!確かに上場企業だけでも約4000社あるしね。
田中
鈴木
ううう、、田中先輩、、!なんていい人なんだ、、!ありがとうございます!
田中
第四章 4-7
鈴木
本文で出てきた優良企業を見極めるチェックポイントをまとめました!
ここだけ読んでもらってもポイントが理解できると思うので、時間がない方は是非読んでみてくださいね!
田中
3年後離職率
「低い」方が新卒の定着率がよく、教育もしっかりしている可能性が高い。
同僚との仲もいい可能性高い。
厚生労働省の調査によると企業の3年後離職率の平均は32%。
新卒採用数と全体従業員数の推移
新卒採用数が多い場合、新卒を採用しても売上が回るくらい仕組み化ができており、事業拡大を見通せそう。
新卒採用数が多いのに、全体数があまり変わらない場合、 辞める人も多くてブラックな可能性あり。
企業の本業のビジネスとして販売している商品・サービスで生み出された利益。企業の本質的な稼ぐ力を表す。
例)製造業であれば、製造した商品を販売することで生じた利益。
・本業の儲けを示すので、基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・赤字の場合は原因を把握する。今後に向けた投資で赤字になる場合など目的が明確になっていて、その後黒字に転換する見込みがあれば問題ないケースもある。
・過去の数字もみて利益体質かを確認する。
営業利益に本業のビジネス以外での収益や損失を反映させたもの。企業全体の稼ぐ力を表す。本業以外で経営基盤を支える収入や、逆に借入などの定常的に発生しやすいものが反映される。
例)製造業の会社が自社ビルを保有し、その家賃収入を得ている場合、本業以外の収益なので、関係する収益、損失を営業利益に加味される。
・本業の儲けを示す営業利益も含んでいるので基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・本業以外の臨時的な営業外収益での黒字化や、慢性的な利息支払いなどその他懸念点がないか(経常利益/営業利益の差が小さければほとんどの利益を本業で稼いでいると言える)。
・営業利益が赤字で経常利益が黒字の場合など、一時的な営業外収益で帳尻を合わせていないか確認する。(本業が利益体質かも過去のPLなどで確認)
経常利益に臨時的な利益や損失を反映させたもの。普段の経営では定常的に発生しないような臨時的な特別利益や特別損失が反映される。
例)製造業の会社が自社ビルを保有し、そのビルを売却した場合、特別利益となり、経常利益に加味される。
・企業全体の利益を表す経常利益も含んでいるので基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・臨時的な特別損益が加味されるので、基本的には経常利益と近い値になる。違いがあれば内容を確認する。
経常利益に特別損益(不動産売却などの普段発生しない臨時的な損益)を反映させた税引前当期純利益から法人税などの税金を反映させたもの。その年の最終利益。赤字の場合は当期純損失という。
・最終利益なので、基本的に黒字かつ増益が望ましい。
・黒字の場合は税金で30%程度税金がかかるので、その分引かれているはず。黒字なのに税引前当期純利益と数字が変わらない場合は、過去に赤字が蓄積しているはずなので、過去のPLなどで利益体質か確認する。
経常利益を社員数で割った利益額。多ければ多いほど社員の給料や福利厚生などで還元される可能性あり。
経常利益は既に社員の 給料を支払い後の利益となっており、会社全体の稼ぐ力を示すので、今後の給料を支払う潜在的な原資になる。
とにかく多いに越したことはないが、平均年収とのバランスを見る必要あり。現状平均年収が高い場合は既に還元されているので、伸び代が小さい可能性が高い。
平均年収+(直近数年平均経常利益/社員数)が現状の期待できる給料の潜在力なので、自分の希望にあっているか確認する。
1年間会社活動をして出した当期純利益(PL)が蓄積されたもの。
多ければ多いほど利益体質の会社になっていると判断できる。
・そもそもマイナスになっていないか。
・マイナスの場合、投資など赤字の原因が明確で今後プラスになりそうか。
・プラスの場合、十分な貯蓄があるか。
利益剰余金/直近数年の平均経常利益(当期純利益は税金や特別損益なども含むため、会社全体の稼ぐ力を示す経常利益で見る)がそのまま損失(マイナス)になった時に数年程度(少なくとも3年以上)は持ち堪えられる程度の蓄えがあるか。